2026年4月12日に公表された調査会社Synergy Research Groupのレポートによれば、AI処理に特化したクラウドインフラ「ネオクラウド」の市場が急拡大しているという。暗号資産関連事業者からの転換組を含む新興勢力が台頭する中、2025年通年の売上高は250億ドルを超え、同年第4四半期単独でも前年同期比223%増となる90億ドルに達した。2031年には市場規模が約4000億ドルに迫り、年平均成長率58%が続くとの見通しが示されている。
ネオクラウドとは、GPU(画像処理装置)を中心とした計算基盤に特化した新興クラウド形態である。GPUをサービスとして提供するGPUaaS、生成AI向けの処理基盤、高密度データセンターなどを主軸とし、AI処理に求められる並列計算能力を集中的に提供する点が従来型クラウドと異なる。代表的な事業者にはCoreWeave、Crusoe、Core Scientific、Lambda、Nebius、Nscaleなどが名を連ねる。注目すべきは、これらの中に暗号資産マイニング事業から転換した企業が含まれている点だ。マイニングで培ったGPU運用ノウハウや大規模電力インフラが、AIクラウド事業への移行を容易にしている。
市場拡大の背景には、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudといった既存のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の供給能力が、急増するGPU需要に追いついていない現実がある。この構造的な供給制約が、特化型事業者の急台頭を後押しした。中でもCoreWeaveは、ハイパースケーラーに対抗し得る存在として市場の注目を集めている。
OpenAIやAnthropicもAI基盤モデルやプラットフォームの提供を通じて影響力を強めており、インフラ層とプラットフォーム層の境界が再定義されつつある。
従来型クラウドが汎用的な柔軟性を重視して設計されてきたのに対し、AI処理では並列性やデータ配置、計算資源の集中といった要件が強く求められるとし、この違いがクラウドの設計思想そのものに変化をもたらしていると指摘する。
暗号資産業界が長年取り組んできた分散型コンピューティングやGPU活用の知見は、ネオクラウドが体現するAIインフラの新潮流と構造的な親和性を持つ。AIの活用が実験的な段階から本格的な業務運用へと移行するにつれ、こうした計算基盤の設計の差異は企業のインフラ選択においていっそう重要な要素となっていく。ネオクラウドの急成長は、暗号資産・ブロックチェーン業界にとっても新たなビジネス機会として注視すべき動向だ。


