米国の仮想通貨運用会社Bitwise Asset Management(ビットワイズ・アセット・マネジメント)は2025年12月16日、年次レポート「【2026年】仮想通貨市場に関する10の予測」を公表しました。
同レポートでは、2026年に向けた仮想通貨市場の需給見通しとして、現物ETF(上場投資信託)を通じた仮想通貨への資金流入が新規供給量を上回る状況が続くと分析しています。
さらに同レポートでは、米国で今年成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」や、仮想通貨の規制明確化を図る「CLARITY法」の動向についても、需給環境を下支えする要因として挙げています。
これらの需給環境や規制動向を踏まえ、同社はステーブルコインや資産のトークン化が拡大する中で、その主要な基盤となるイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)が恩恵を受けるとし、2026年の見通しに強気な姿勢を示しています。
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2025年には主要銘柄であるビットコイン(BTC)、イーサリアム、ソラナ、エックスアールピー(XRP)がいずれも過去最高値を更新しました。
足元では価格が調整局面となっていますが、機関投資家による需要や規制面の進展などが追い風になるとの見方から、2026年は「強気相場の年になる」とビットワイズは予測しています。
レポートによると、中でもイーサリアムとソラナについては、ステーブルコインおよびRWA(現実資産のトークン化)というメガトレンドの恩恵を最も受けるネットワークになると指摘しています。
そのうえでビットワイズは、2026年に米国でCLARITY法(市場構築法案)が成立すれば、両通貨が新たな過去最高値を記録する可能性が高いとの見解を示しました。
一方、CLARITY法(市場構築法案)が不成立に終わった場合、規制面の不透明感から強気シナリオが後退する恐れもあると述べています。
価格見通しを支える要因として、ビットワイズは現物型の仮想通貨ETFによる需要増加にも注目しています。
予測では、2026年にビットコイン、イーサリアム、ソラナの各ETFが新規発行分の「100%以上」に相当する数量を買い集めるとされ、供給不足を招くほどの機関投資家マネー流入が見込まれています。
実際、同社が2025年10月に現物ソラナETF(ティッカー: BSOL)をニューヨーク証券取引所に上場した際には、初週で約4億2,000万ドル(約650億円)の資金を集めました。
米JPモルガンも「こうしたアルトコインETFは初の半年間で総額140億ドル(約2.2兆円)規模の資金流入を生み、そのうち60億ドル(約9,380億円)がソラナ関連製品に流入し得る」との予測を示しており、アルトコイン市場への投資需要の高さが浮き彫りとなっています。
こうしたETF市場の拡大と並行して、米国では制度面の整備も進んでいます。
米国では2025年7月にステーブルコイン規制「GENIUS法」が成立し、安定したドル連動型トークン発行のための全国的なルールが整備されています。
また、米下院は2025年7月、暗号資産の包括的な市場構築を目的とした「CLARITY法案」を294対134で可決した後、2025年9月18日に上院へ送付しました。
ビットワイズは、ステーブルコイン市場について「2025年初の約2,050億ドル規模から年末時点で約3,000億ドルに達し、2026年末までに5,000億ドルに倍増する可能性がある」と分析しています。
その上で、明確な規制枠組みの下でトークン化の動きが進めば、イーサリアムやソラナのネットワーク需要が一段と高まるとの見方を示しました。
実際、モルガンスタンレーやメリルリンチなどの大手金融機関も2025年中に仮想通貨ETFへの顧客アクセスを解禁しており、仮想通貨が伝統金融に組み込まれる動きが顕著となりました。
ビットワイズのマット・フーガンCIO(最高投資責任者)は「2026年は強気派の年になるだろう」と述べており、機関投資家の参入拡大と明確化された規制環境を追い風に、アルトコイン市場に構造的な転換点が訪れる可能性を示唆しています。
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こうした中長期的な見通しとは別に、直近の市場動向として仮想通貨投資ファンドからの資金フローにも変化が見られています。
米CoinShares社の週次レポートによれば、米国のCLARITY法(市場構築法案)成立の遅れや大口投資家の売却観測を背景に、デジタル資産投資商品から約9億5,200万ドル(約1,490億円)が流出しました。
特にイーサリアムとビットコインを対象とするファンドからの資金流出が顕著で、それぞれ約55億5,000万ドル(約8,670億円)と4億6,000万ドル(約720億円)規模が引き揚げられています。
一方で、ソラナとXRP関連のファンドには約6,300万ドル(約98.6億円)と4,900万ドル(約76.7億円)の資金流入が発生し、一部アルトコインへの需要が示されました。
このような資金動向の背景として、SEC(米証券取引委員会)は2025年9月、NYSEやナスダックなど取引所のルール変更を承認し、新たな仮想通貨ETFの一括上場を可能にする措置を決定しています。
この規制緩和によりソラナやXRP、ドージコイン(DOGE)といったアルトコインを対象とする多数のETFが迅速に市場投入できる環境が整備されました。
機関投資家の資金流入と規制整備が進む中、2026年に向けたアルトコイン市場の動向が注視されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.28 円)
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Source:Bitwise年次レポート
サムネイル:AIによる生成画像


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