予測市場プラットフォームのPolymarket(ポリマーケット)が、AIを活用したデータ分析企業Kaito AI(カイトAI)と提携し、新たに「アテンション・マーケット」と呼ばれる分野へ進出する。
この取り組みでは、ブランドの人気度や話題性、世論の変化といったソーシャルメディア由来の指標を対象に、ユーザーが予測・取引できる市場が提供される。
この動きはForbes(フォーブス)誌が最初に報じ、その直後にカイトがX上で正式に認めた。カイトはこの新展開を「インターネットトレンド予測の次の段階」と位置づけている。
ソーシャルデータを数値化する「注目度市場」
今回導入されるアテンション・マーケットでは、SNS上の投稿や動画、コメントといった膨大なデータを集約し、「人々が何に注目しているのか」を数値化する。
カイトのCEOであるYu Hu(ユー・フー)氏がフォーブスに語ったところによると、同社は X、TikTok、Instagram、YouTube など複数の主要プラットフォームからデータを取得し、主に2つの指標を算出している。
一つは「マインドシェア」と呼ばれるもので、特定のテーマやブランドについてどれだけ多く語られているか、つまり話題量を示す指標だ。
もう一つは「センチメント」で、言及の内容がポジティブかネガティブかを判定し、世論の感情的な方向性を測る。
新しいマーケットでは、これらの指標の変化をもとにしたイベントコントラクトが提供され、ユーザーは「どのブランドの注目度が上がるか」「世論は好意的に傾くか」といったテーマに賭けることができるようになる。
数十から数千へ、市場は急拡大へ
ポリマーケットの暗号資産部門責任者であるThibault氏は、フォーブスに対し、3月初旬から数十種類のアテンション・マーケットを順次ローンチする予定だと語っている。
さらに、年末までには数千規模の市場へ拡大する計画だという。
カイト側もXの投稿で、アテンション・マーケットを自社のメインサイトに直接組み込むと同時に、独立した専用サイトも新たに立ち上げる方針を明らかにした。
当初は暗号資産(仮想通貨)分野からスタートし、今後はAI、金融、エンターテインメント、スポーツ、地政学といった文化的影響力の大きい領域へと対象を広げていく。
世論調査に代わる「市場ベースの意見測定」
ユー・フー氏はフォーブスに対し、カイトのデータとポリマーケットの取引データを組み合わせることで、従来のアンケートや世論調査よりも正確な世論の把握が可能になると語っている。
実際、ポリマーケット自身もこれまでカイトのデータを活用し、自社の人気や注目度の推移を分析してきたという。
両社は過去1年ほどかけてアテンション・マーケットの構想を練り、今回の正式な展開に至った。
予測市場全体の急成長が背景に
今回の提携は、予測市場分野全体が急速に拡大している流れの中で行われた。
デジタル資産情報サービスを手がけるThe Block(ザ・ブロック)のデータによると、ポリマーケットの2024年1月の取引高は76億6000万ドル(約1兆1900億円、1ドル=155円換算)に達し、前月比で44%増加している。
競合するKalshi(カルシ)も同月に95億5000万ドルの取引高を記録し、こちらも前月比45%増と高い成長率を示した。
政治やスポーツにとどまらず、経済指標や文化的トレンドまで対象を広げることで、予測市場は「一部の投機的サービス」から「日常的な意思決定ツール」へと変化しつつある。
Kaitoが描く「注目度の金融化」
カイトはポリマーケットとは別に、予測市場スタートアップNoise(ノイズ)向けにもアテンション・マーケットのデータを提供している。
ノイズは、カイトのマインドシェアやセンチメントをもとにロング・ショートポジションを取る「永久市場」を提供しており、1月にはParadigm(パラダイム)主導で710万ドルの資金調達を行った。
カイトがXで述べているように、「測定可能な注目度」は、人々がトレンドを予測し、そこから価値を引き出すための新しい手段となりつつある。
アテンション・マーケットは、予測市場が暗号資産の枠を超え、より広い日常生活の一部へと浸透していく過程を象徴する試みといえる。
詳細なローンチ時期については、近日中に追加情報が公開される予定だ。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
デジタル通貨カンファレンス
登録無料
✉️ 今すぐ申し込む


