エプスタイン関連資料より、同氏がゲイリー・ゲンスラー氏とデジタル通貨について会談を検討していた事実が明らかになった。これにより、同氏が初期の暗号資産業界リーダーや政策関係者と接点を持とうとしていた動静に改めて光が当たった。
2018年5月のメールでは、エプスタイン氏が元財務長官のローレンス・サマーズ氏に「ゲイリー・ゲンスラー氏が早めに来る予定……デジタル通貨について話したがっている」と伝えていたことが記されている。サマーズ氏は、ゲンスラー氏を政府時代から知っており、「かなり頭が切れる人物」と評していた。
このメールのやり取りから、エプスタイン氏はゲンスラー氏が暗号資産を巡る議論に加わることを期待していたことがうかがえる。
一方、内部メッセージからは、エプスタイン氏がMITメディアラボの幹部関係者による暗号資産関連の集まりにも言及していた事実が確認できる。
あるメッセージでは、「ゲイリー・ゲンスラー氏に興味があるか」と他者に問い合わせており、当時ゲンスラー氏が暗号資産に関する学術・政策分野で活動していた様子が示唆されている。
また別のメッセージでは、エプスタイン氏は「明日はゲイリー・ゲンスラー氏と暗号資産について会う」と書き残しているが、資料から直接会談が実際に行われたかどうかは確認できなかった。
当時、ゲンスラー氏はMITの教授であり、ブロックチェーンやデジタル通貨に関する講義を担当していた。
その後、同氏は2021年から2025年までSEC委員長を務め、米国史上もっとも強力な暗号資産規制強化を指揮した。
ゲンスラー氏への言及と並び、エプスタイン氏が暗号資産の初期開発や投資に深く関わっていたことも多くの証拠から明らかになっている。
DOJの資料によれば、エプスタイン氏はMITメディアラボに数十万ドルの寄付を行い、ビットコイン財団の崩壊後にはビットコインコア開発者を支援するデジタル通貨イニシアチブへの資金提供も行っていた。
このイニシアチブにより資金提供を受けた開発者の中には、ビットコインのオープンソースプロトコルの主要管理者も含まれていた。
さらに財務記録からは、エプスタイン氏が2014年に暗号資産取引所コインベースへ300万ドルを投資していたことも確認されている。
同氏はまた、ビットコインインフラ企業ブロックストリームにも投資し、初期のビットコイン開発者や研究者、ベンチャーキャピタリストとも交流していた。
さらに、エプスタイン氏が2016年にビットコインをモデルとしたシャリーア適合のデジタル通貨を提案していたことも、メールから明らかになっている。
ただし、資料からは、エプスタイン氏とゲンスラー氏の間に何らかの金銭的関係があったことや、2人が直接会談した、あるいは暗号資産関連プロジェクトで協働した事実は確認できなかった。
それでも、これらの文書は、エプスタイン氏が暗号資産、学術界、金融政策の有力者たちとの関係構築に継続的に注力していたことを裏付けている。


