この記事の要点
ブラジルの国営金融機関であるBanco do Brasil(バンコ・ド・ブラジル)は2026年3月6日、即時決済システム「Pix」をアルゼンチンの実店舗で利用できる新サービス「Pix no Exterior(海外Pix)」の提供を開始したと発表しました。
今回のサービスはアルゼンチンの金融機関Banco Patagonia(バンコ・パタゴニア)との提携により実現したもので、バンコ・ド・ブラジルの口座保有者でなくても、Pixユーザーであれば誰でも利用可能となっています。
Pixは2020年の導入以降、ブラジル国内で急速に普及し、現在では送金・決済の主要インフラとして広く定着しています。
こうしたPixの普及は、アルゼンチンの仮想通貨市場にも直接的な影響を与えており、仮想通貨取引プラットフォームLemon(レモン)が公表した報告書がその実態を示しています。
同報告書によると、2025年のアルゼンチンにおける仮想通貨関連アプリのダウンロード数は540万件に達し、そのうち90%以上がPixに対応したウォレットだったと明らかにしました。
法定通貨が不安定なアルゼンチンではPixを入口とした仮想通貨(暗号資産)への資産移動が加速しており、今回の海外展開はその流れをさらに後押しするものと位置づけられています。
同行はアルゼンチン展開を皮切りに、ブラジル人が多く居住するアメリカ大陸やヨーロッパ、アジア地域への拡大も検討していると明らかにしており、Pixの国際展開が仮想通貨エコシステムの拡張をさらに加速させる動きとして注目が集まります。
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バンコ・ド・ブラジルの発表によると、海外Pixの取引では銀行側が自動的に為替変換を行い、利用者はブラジル・レアルで支払いながらアルゼンチンの店舗側は現地通貨で代金を受け取る仕組みです。
この為替変換はAPIを通じて数秒以内に処理され、利用者の普通預金口座または貯蓄口座から直接引き落とされる一方、明細上は通常のPix取引として表示されます。
取引にはブラジル連邦政府が為替・信用取引に課すIOF(金融取引税)が適用されます。
アルゼンチンではペソの慢性的な下落を背景に、資産をテザー(USDT)などのステーブルコインや仮想通貨へ移す動きが続いており、Pixはその入口となる即時・低コストの送金インフラとして仮想通貨市場と深く結びついてきました。
今回の海外展開はこうした流れをさらに加速させるもので、Pixとアルゼンチン国内の仮想通貨ウォレットとの接続が強化されることで、同国在住者の仮想通貨アクセスが一段と広がると見られています。
同行が示すアメリカ大陸やアジアへの展開計画が実現した場合、各国の仮想通貨エコシステムとの連携が一気に加速し、既存の国際送金インフラとは異なる新たなオンランプとしてPixが機能する可能性があります。
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ブラジルでは仮想通貨・ブロックチェーン分野での政策整備が急ピッチで進んでおり、決済インフラの拡充と並行してデジタル金融全体の基盤が急速に整いつつあります。
ブラジル議会では「100万BTCの国家準備金」を創設する法案が前進し、売却益の非課税措置も盛り込まれていると報じられています。
従来型の金融サービスをオンチェーンへ移行する取り組みも広がりを見せており、ポリゴン・ラボ(Polygon Labs)はあらゆる通貨をオンチェーンで扱うことを目指す「Open Money Stack」構想を発表しました。
こうした市場拡大の流れの中で進むバンコ・ド・ブラジルによるPixの海外展開は、同行が示すアメリカ大陸・ヨーロッパ・アジアへの拡大計画の進展とともに、デジタル金融の国際展開における重要な焦点となっています。
各国の仮想通貨ウォレットやDeFiプロトコルとの接続が広がれば、Pixは法定通貨と仮想通貨エコシステムをつなぐ新たなオンランプとして機能することになり、仮想通貨市場全体への波及効果も大きくなるとみられています。
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Source:Agência Brasil(ブラジル政府系通信社)報道
サムネイル:AIによる生成画像


