2026年3月5日、米国のクリス・マーフィー上院議員は、軍事攻撃などの政府行動に関する予測市場での取引を禁止する法案を起草していることを発表しました。
マーフィー議員は民主党に所属し、上院外交委員会などで国家安全保障に関わる課題に注力している人物です。同議員は、予測市場が国家の安全保障に関わる汚職リスクを生む可能性があると警告しています。また、下院においても同じく民主党所属で安全保障問題に取り組むマイク・レビン議員が同様の目的を持つ法案の準備を進めており、議会全体で規制強化に向けた動きが始まっています。
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予測市場とインサイダー取引のリスク
予測市場とは、将来発生する出来事の結果を予測し、その結果に対して取引を行うプラットフォームです。Polymarketのような分散型予測市場は、パブリックブロックチェーンを基盤としています。スマートコントラクトを利用することで、仲介者を介さずにユーザー同士の取引と決済を自動化しています。
しかし、そのアクセスの容易さが課題を生み出しています。今回の法案起草の契機となったのは、2月28日に実施された米軍によるイラン空爆に関連する取引です。ブロックチェーンのデータ解析を行うBubblemapsの報告によると、空爆開始の数時間前、6つの新規ウォレットがPolymarket上で取引を行っていました。「2026年2月28日までに米国がイランを攻撃するか」という予測に対し、これらのウォレットは合計で約100万ドルの利益を上げています。最も大きな利益を得たウォレットは、約6万ドルの資金を投じて約49万ドルの利益を得ています。マーフィー議員は、ホワイトハウス周辺の内部情報にアクセスできる人物がこの取引に関与した可能性が高いと指摘しています。
規制対象の範囲と例外規定
マーフィー議員が準備中の法案は、戦争行為の決定や政治家の演説内容など、政府の意思決定に関する予測取引を明確に禁止する内容を含んでいるとされています。内部情報を利用して意図的に政策を誘導するような、金銭的インセンティブを排除する目的があります。
一方で、金融政策や経済指標に関する市場は例外として扱われる見込みです。これにより、市場参加者の予測を集約し、将来の動向を可視化するという予測市場本来の機能は維持されることになります。
市場の拡大と事業者の対応
予測市場の取引規模は急速に拡大しています。The Blockのデータによると、2026年2月の月間取引高は、米国で規制認可を受けているKalshiが104億ドル、分散型のPolymarketが79億ドルを記録し、合計で約183億ドルに達しました。
市場が拡大するにつれて、取り扱うテーマに関する倫理的な懸念も表面化しています。Polymarketは3月4日、年内の核兵器使用を予測する市場をプラットフォームから削除しました。この市場には削除前に少なくとも65万ドルの取引高が集まっており、軍事行動に関する市場が非公開情報を持つ個人の利益機会になっているとの批判を受けた対応です。
考察
軍事行動を対象とした予測市場のリスクは、株式市場における一般的なインサイダー取引とは本質的に異なります。株式のインサイダー取引は主に市場の公平性や透明性を損なう不公正な取引行為と位置付けられています。対して軍事行動の予測市場は、政策決定者が金銭的な利益を目的として他国への攻撃を主導し、直接的に人命を脅かす危険性を持っています。
さらに注視すべきは、ブロックチェーンを基盤とする予測市場が、従来の贈収賄を代替する新たなインセンティブ構造を生み出すリスクです。たとえば、A国の敵対国が他国へ軍事侵攻を行う際、予測市場上で「A国は介入を行う」という選択肢に意図的に巨額の資金を投じることが技術的に可能です。この操作により、逆の「A国は介入しない」という選択肢のオッズが人為的に引き上げられ、利益機会が生まれます。
A国の政策決定者には、敵対勢力と直接接触するような従来の資金供与ルートを迂回し、匿名のウォレットを通じて割安になった「介入しない」を購入する動機が生じます。そして、実際に軍事介入を見送る決定を下すことで、自国の安全保障上の利益を損なう対価を取引利益として回収できてしまうのです。
もちろん、ブロックチェーン上の取引履歴はすべて公開・記録されているため、不自然な取引があれば捜査機関による追跡調査の対象となります。ウォレットの特定が進めば、関与した人物が重大な罪に問われることは免れません。しかし、発覚のリスクが存在するとはいえ、伝統的な金融システムを介さずに国境を越えて巨大なインセンティブを提示できる仕組み自体が、国家の安全保障に対する新たな脅威となることは事実です。 今回の法案提出を主導するマーフィー議員とレビン議員は、いずれも民主党に所属しています。現在の議会構成や、自由市場を重んじる層からの反発を考慮すると、民主党単独の法案がそのまま議会を通過する可能性は高くないといえるでしょう。しかし、国家の安全保障に関わるテーマであることから、党派を超えた議論の契機となる余地は残されています。また、この議会での動きは、米商品先物取引委員会(CFTC)のセリグ委員長が進めている、予測市場に関する新たなルール作りを後押しする一つの材料となる可能性があります。
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